米国のデベロツパ主導でロサンゼルスに都市型ホテルを建設するプロジェクトを実施。
結果的には建設費にオバランが出て、M商事は追加資金や保証を求められ、ホテルが営業してからの収益では全然賄えないほどの損失を被った。
それ以来、M商事にとって米国での不動産事業はタブだった時期が十五年ほどあった。
一九八八年に再開させたのがH氏。
サンフランシスコ近郊にリミテッド・サビス型のホテルを開発するプロジェクトだった。
企業再生ファンドのグルプ企業も加わったわけで、不良債権ビジネスの拡大は、サビサ業界の拡大をみても、わかる。
不動産から企業へ、不良債権ビジネスの対象領域が大幅に広がった。
金融機関と投資家の聞の狭い範囲で仕事をしていた不良債権ビジネスのプレヤーが、企業再生という錦の御旗を得て、堂々と活動するようになった。
そのうえ、新規参入も相次ぎ、にぎやかになっている。
企業再生ブムの真相だ。
不良債権を扱っている外資系投資会社の姿を普通にはHにすることがない。
彼らにしてみれば、外国人投資家のためのファンドを運用しているなら、日本で宣伝する必要がまったくない。
日本では、債権買い取りのため大手金融機関と付き合うことと、高額不動産の買い手を探すことなど、狭い世界だけでも商売は成立するからだ。
何らかの形で、不良債権ビジネスに関わっている日本人に聞いても、全員が合意するような業界像はなかなか描けない。
不良債権の売買では金融機関と外資系投資銀行などと相対取引が多いし、金融機関が不良債権を売るのに入札を実施しても、常に全メンバがそろうわけでもないので、どこが強いともいえない。
だが、少しずつ漏れてくる話を総合すると、大きな商売をやっているのは、G、R、M。
やはり外資が強いようだ。
資金力勝負の世界である、と同時に、頭脳戦でもある。
こんな話も聞いた。
外資といっても、働く人はほとんど日本人だ。
だが、値段の交渉がなかなかまとまらず、強く交渉したいという場面では、外資側は必ず外国人を代表にし、英語で交渉する。
「ニューヨークがノーと言っている」などと言い、妥協しない。
すると日本の金融機関は、外資側の言い値に歩み寄る。
「そのほうが金融機関も裏議があげやすいじゃないのかな」と、この話を教えてくれた人が言っていた。
顔の見えにくい外資系の中では、Kは数少ない例外の一つだ。
二OO二年初夏、初めて同社の取材に行った私に、H良輔社長は丁寧に不良債権ビジネスの現状を教えてくれた。
その時点では、一九九七、九八年頃によく言われた金融機関による不良債権のバルクセル(まとめ売り)はあまり聞かなくなっていた。
バルクセルとは、比較的質の良い不良債権と質の悪い不良債権との抱き合わせ販売のこと。
担保の不動産が、あまり値打ちがないなどの理由で、回収できる金額が低そうな不良債権は買い手がつきにくい。
そこで金融機関は、値打ちのある担保不動産付きの不良債権などと混ぜて売る。
だから、初期の不良債権売買では、数百億円単位の大きな話がちらほら報道されていた。
不良債権のビジネスは質的・量的に変化したのか、と質問すると、H氏は、「本当の意味の不良債権処理が一段落して、破綻懸念先・実質破綻先のところに変わってきている」と語り始めた。
本当の意味の不良債権とは、会社更生法の適用など法的整理の対象になった破綻先区分のことだ。
「依然として対象となるのは、破綻先に近いものが多いのですけども、一方で、銀行が破綻懸念先のほうの処理を少しずつ始めているのです。
(その結果)、量的には一時的に、ちょっとしぼんでいるかもしれない」具体的に何が起きていたのか。
その他の取材をあわせ、簡単に説明してみる。
会社更生法など法的整理になった企業向けの債権(過去の発生分)については、銀行はさっさと売却して大体の処理を終えた。
その次に、破綻予備軍を処理する段になると、銀行は少しずつしか処理できなくなってしまった。
閉じ借り手企業に何行もの銀行が貸しているので、他の銀行の動きを見る必要が生じたからだ。
対象の企業はまだ倒産していないので、どこかの銀行が、経営改善策に協力するなり、法処理から再生へ、新ビジネスのプレヤーたち的整理の決断を促すなり、面倒を見なくてはいけない。
最終的には、面倒を見る役割は最大の貸し手である銀行が果たすことになるのだが、そこまでの過程で、どこそこの銀行だけ逃げ出した、と非難されたくないので、早くは逃げられない。
また、自行だけ債権を回収し損ねるのも損だ。
そこで横にらみで、銀行は自分たちの行動を縛り合っていた。
二OOO年、百貨店のそごうが破綻に至る前、新生銀行だけが債権放棄に応じないとつっぱねて、銀行村を驚かせたことがあった。
新生銀行のように横並びの行動をしない銀行は、今でも珍しい。
外資系はカネのことしか考えないが、日本の銀行は評判を第一にする、などとよく聞く。
日本の銀行もカネ儲けのためにカネを貸しているのだ。
最後まで行けば自分のカネのことを一番に考えるわけで、むしろ日本の銀行は意思決定が遅い、と言ったほうが当たっているだろう。
そうして破綻予備軍向け不良債権の処理は少しずつしか進まない。
Kは「処分しなくちゃいけない部分を引っ張り出して、処分させていただくとか、買わせていただくとか、売る手伝いをするとか、等々の切り口に関与している」(H氏)ということだ。
Kは、米国カリフォルニア州に本社を置く不動産投資会社だ。
一九七七年に不動産をオクションで販売する会社として誕生し、段資会社へ発展した。
九五年に日本法人を設立したが、当初は、日本の大手企業・金融機関が海外に持っていた不動産の売却を仲介するのが主な業務だった。
その二、三年後に金融機関による不良債権処理が本格化したのを受けて、設け、不良債権ビジネスヘ参入した。
外資系は不良債権を買い叩いていると言われている。
実際はどうなのかと聞いてみた。
H氏いわく、「債権を買うときには、担保物件の価値を査定して、リスク・ファクタパシフィック債権回収というサビサ分を引き、自分たちの利益を確保したうえで値付けをするわけです。
だから、一億円の価値があると思われる担保物件であった場合でも際には七千万円で買うのか、ということになる」リスク・ファクタというのは?「売れるか売れないかわからないですから。
それから、売れるまでに時間がどれだけかかるのか、債務者さんが本当に同意してくれるのか・・。
いろんなリスク要因があります。
特に時間の概念は大事です。
五千万円で買って、三年後に一億円で売っても、採算が非常に悪い。
半年以内に七千万円で売れたら、良いリタンになるかもしれませんね。
いくらで買ったら、どれだけのタイミングで、どれだけキャッシュを回収できるのか。
その見定めが私どもの専門知識ということになるわけです」。
ところで、H氏に聞いたところでは、不良債権のバルク買いをしている外資系の投資会社は、年率換算で最低二O%の利回りと非常に高い数字を期待する。
投資の回収まで三年から五年と短いのも特徴だそうだ。
H氏が長く在籍したM商事は、一九七0年代前半に米国でのホテル開発に失敗したことがあった。
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